TB-LB Theoryとは、Time being-Labour being Theoryの略で、時間と存在を切り離すことなく一体のものとして、「時間存在」「存在時間」として考察する時間理論です。以前発表したTB-LB Theory 1.0において、時間の本質を「社会関係」にあると規定しました。しかし、これは一面的で主観的な時間論でした。
TB-LB Theory 2.0においては、これを批判的に推し進めて、時間を人間の社会活動によって生み出される「主観的時間」と、人間活動から独立した「客観的時間」の2つに分けて、この2つの時間の関係性を、社会的存在と自然的存在の関係性として捉え返して考察します。このとき、このふたつの存在の関係は、「物質代謝関係」として、表現できます。この「物質代謝関係」が、「主観的時間」と「客観的時間」を分節化しているのではないか、と考えます。この点を、ジェルジ・ルカーチと斎藤幸平氏の論考を手掛かりに考えたいと思っています。
第2のポイントとして、時間と空間の関係をどう考えるかということがあります。TB-LB Theory 1.0において、時間の本質を「社会関係」にあると規定しましたが、空間との時間との関係性の視点で、これを捉えなおすと、たとえば、時計にしても、惑星間運動にしても、時間に先行して、空間への参照が存在していると言えます。同時に、商品空間に典型的なように、空間の中に、時間が労働時間として凝縮されています。この例における、「参照」と「凝縮」のように、自然的存在においては、時間よりも空間が先行し、社会的存在においては、空間よりも時間が先行します。この空間を、物質あるいは運動と言い換えると、アリストテレスの古代思想に近くなります。この時間と空間の関係についても、アリストテレスなどの古代思想や、物理学の時間と空間の関係についての考え方などを参照しつつ、考察を進めたいと考えています。
本発表では、まず、史料に基づいたブッダの思想の時間的、地理的変遷を概説する。さらに、日本の仏教思想の共通点と独自性、および日本固有の思想(古神道)や外来思想(中国思想、西洋哲学等)との融合により、それぞれの時代の課題にどのように対峙してきたかを解説する予定である。仏教思想が、現在の日本の思想様式に前提として潜伏している部分について、あるいは、現在の思想的問題の指標となりうるのか、参加者の皆様と議論できればと考えている。
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